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5月 2018

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5月28日月曜日、晴れわたったさわやかな朝。札幌への出張のためバスに乗り、春から夏へと急ぎ足で移ろう季節の風景を楽しみながら心地よい移動の時間を過ごしました。山際に多い白樺や河畔林のヤナギなど、木々が芽吹き若々しい若葉が勢いよく光彩を放っています。山裾に広がる牧場は、絨毯のような鮮やかな緑で繁っています。

中頓別が一番美しい季節。そして、私にとっては、ここが世界で一番美しい場所だと思える瞬間でもあります。

中頓別は頓別川の上流域にあり、支川である兵知安川が合流する市街地から上流域はほぼほぼ自然河川のままです。下流域にある浜頓別町を除くと隣町との境界は分水嶺になっていて、町域の8割が森林です。緩傾斜の農地が多く、ほとんどの農地が山際と接していて、その農地を潤すため小さな沢が数多く流れています。この景観こそ、この町が誇るべき財産であり、自然と人との共生を謳う我がまちづくりの大切な基盤ではないかと思っています。

融雪期は水嵩が増し流れも速かった川もこの時期になるとゆるやかで、自然のままゆっくり蛇行を繰り返しながら森の恵みを大地と海へ届けるために静かに流れています。

一年の半分を雪のあるなかで過ごすこの地域では、春から秋へ三つの季節の移ろいは速く、それゆえにそれぞれの季節が放つ魅力は鮮烈で力強さを感じます。特にこの季節はそうで、さわやかで心地いい空気、淡く澄んだ空色、清々とした水の流れと若々しく芽吹く新緑。長い冬を乗り越えてきたご褒美なのかもしれませんが、今年もこの美しさに浸ることができる幸福を味わわせてもらいました。

これらが織りなす世界は日々変化を重ねそれぞれが一瞬のように過ぎていきます。暑く萌える夏が早くバトンを渡せとばかりに待ち受けていて、もっとせっかちな秋にバトンを奪われる前に木々や畑の作物を育てなければと迫ってきています。

日本の最北、宗谷・中頓別の魅力を少しでも多くの人に伝えたい。暮らすようなゆっくりな旅でなければ感じることができない素晴らしさ、私たちはそこを考えていければと思っています。

好天に恵まれた5月12日(土曜日)、たくさんの町民にご参加を頂いて中頓別町クリーン作戦を実施しました。今年は、中頓別小学校の土曜事業として、また認定こども園でも参観日に合わせて親子で参加してくれたこともあり当日だけで300名近い参加となっています。また、この日の前後で取り組んで頂いたところもあり、これを合わせると延べで350名を超えていて、すべての町民の2割が参加していることになります。これはほんとうにすごいことだと思います。町の職員もほとんどが参加してくれていたようです。

クリーン作戦のはじまりはいつか調べてもわかりませんでしたが、少なくとも私が町職員になった年(昭和59年)よりもかなり前から行われています。これまで本当にたくさんの町民が参加して雪解け期に大量のポイ捨てごみを回収してきた歴史があり、地域が大切にしなければならない取り組みだと思っています。

職員時代、平成10年から私もクリーン作戦を直接担当しました。それ以前は、集めたごみをそのまま処分場まで運んで終わりでしたが、2年目くらいから資源ごみを分別してリサイクルすることにしました。資源ごみとなる空き缶などは水槽の中で洗浄してから200㍑くらい入る大きなコンテナに入れて処分場まで運ぶことにしたのです。ところが思った以上にこの作業が大変で、回収されるごみの中から出てくる空き缶やペットボトルの量は膨大で、前述のコンテナで数十個分も出てきました。それまでは2時間程度ですべて終わっていた作業がお昼を過ぎても終わらず、午後まで作業が続きました。その時は大変なことを始めてしまったなと思ったものですが、それ以降、回収されるごみの量は減り続けてきました。

今年は私も最後の分別と洗浄の作業に参加しましたが、集まってくるごみの量は本当に少なく、洗浄分別した資源ごみはわずかコンテナ数個分でした。焼却するごみの量も同じ程度だったと思います。国道や道道の維持管理のなかで空き缶などを回収してくれているという事情もありますが、明らかにポイ捨ての量は減っていることを実感します。少なくとも、人口や交通量が減った割合をはるかに超える割合で回収ごみは減っています。社会の成熟とともにマナーも向上していると考えてもいいのでしょうか。

ごみ処理の問題は、町の財政にとっても、とても大きな問題です。中頓別町は、焼却ごみについては、し尿処理施設と合わせて猿払村、浜頓別町、枝幸町と一部事務組合を作って処理をしています。この施設に関しては町の負担金も重く、ようやく起債の償還がおわったものの今後は老朽化とともに維持コストが増えていきます。今は週5日24時間焼却施設は稼働していて、運転コストが大きな負担です。ここに持ち込むごみを減らすことは、施設設備の維持管理コストと稼働時間削減にともなう運転コストの削減につながっていきます。また、町単独の最終処分施設も現在供用している埋立処理場がいっぱいになる時期が近づいており、新たな処分場の建設は町にとって大きな負担となります。その時期ができるだけ遅くなるよう今の施設を持せていかなければなりません。

クリーン作戦の役割は、町をきれいにすることはもちろんですが、それ以上に、ごみを出さない、ごみが出ない社会に近づけていくことにあると思っています。心無い人がポイ捨てしたごみを回収し、資源化できるものを資源化する。このことをとおしてごみの課題を考えるきっかけになってくれているはずです。これは地球環境にとっても大切なことであり、冒頭で述べたように地域の大切な取り組みとしてこれからも続けていけることを願っています。年一回のイベントで終わらせず、町民の皆さんと力を合わせ、ごみの減量と再利用・リサイクルの促進など、普段の生活の中でできることを積上げていく取り組みにつなげていきたいと考えています。

休日の貴重な時間に参加してくれた町民、職員のみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。ほんとうにありがとうございました。

 

 

 

5月8日、札幌にある発達が心配な乳幼児を支える活動に取り組む社会福祉法人麦の子会を、保健福祉課と認定こども園あわせて職員5人といっしょに訪問し、視察をさせて頂きました。

麦の子会は、児童発達支援センターを核に児童発達支援事業、日中一時支援事業、ショートステイ、ホームヘルプ事業、里親ファミリーホームなどを展開するほか、ここから育った子どもたちのための成人を対象とした事業としてグループホームの運営、生活介護事業、就労移行支援事業を行っています。私にとって、これだけの規模で子どもの発達支援などに取り組む現場を見るのは初めてでしたが、生まれた時からおとなになるまでと、さらにおとなになってからも支え続けてくれる存在として、素晴らしい取り組みをされていることに心が熱くなるほど感動しました。利用されている子どもたち、いっしょに参加しているおかあさんたち、支える多職種にわたる職員のみなさん、とてもステキな笑顔でいっぱいでした。

中頓別のような小さな町では、発達が心配な子どものために必要な事業所、専門職など社会資源をすべてそろえることは難しいことです。でも、それを必要とする子どもが必要な支援を受けられないまま、仕方がないこととあきらめてしまうような地域でいいとは考えたくありません。今回の視察は、本当に優れた取り組みに学びながら、この町なりのしくみを考えていくことを目的としていました。

麦の子会は、学生有志が教会にスペースを間借りして無認可の通園センターとしてスタート。13年を経て社会福祉法人となり法定施設として「むぎのこ児童発達支援センター」を開園しました。その後20年のなかで冒頭で挙げたような多くの施設を運営するまでになっています。そのことを北川聡子総合施設長にお聞きしましたが、「自分たちは大きくなったとはあまり感じていない。みんな家族のようだから」とさらりとお答えになりました。麦の子会は、子どもとその親たちに家族のように寄り添いながら事業を進めてきています。その延長の中で必要となった支援のしくみが自然と広がったということなのだと思いますが、子どもだけでも500人近い利用者がいて、職員も二百数十人に上る大きな組織を「家族」として支えていく姿勢を貫いているということ、そのこと自体がとてもすごいことではないかと感じました。私たちを迎え入れ説明して下さったスタッフも自らひきこもりだったり、発達障害があったということを打ち明けられていました。ここで支援を受けてきた子どもや、自分の子どもが支援を受けてこられた親が、今は麦の子会の職員として働いています。

地下鉄東豊線新道東駅と栄町駅の間西側で半径700~800mのエリアに麦の子会の事業所が町に溶け込むように点在しています。麦の子の事業所を利用している子どもたちを多く受け入れている栄町小学校、中学校も含め、このエリア一帯が発達が心配な子どもたちのためのとてもとてもやさしい街になっているように感じました。

北川総合施設長をはじめ、お世話になった職員のみなさんに心から感謝を申し上げます。中頓別でやらなければならないことをしっかり取り組む、忙しいなか迎えてくださった方々へのお礼に変えていきたいと考えています。

麦の子会のホームページ → http://muginoko.com/

 

5月に入り、残雪も多くみられますが、私の家のチシマザクラが3日朝に開花しました。気温が5度くらいしかない朝でしたが、その前に少しだけ温かさを感じる日もあり、花は春を待ちきれなかったのかもしれません。

さて、5月2日に臨時議会を招集させて頂きました。本題は、この冬のリニューアルオープンに間に合わせるべくスキー場リフト架け替え工事の請負契約の承認を求める件でした。開設から40年近く経った現在の寿スキー場は、昨年度から設計に入り次のシーズンまでにリフトの架け替えやロッジの改修を行います。今回の議決を経て、秋までにリニューアルを終わらせる予定です。

臨時議会の開催に合わせ、補正予算を提案させて頂きました。主な内容は、今年の大雪で倒壊した公共施設の除却に要する費用の計上です。鍾乳洞の管理棟から洞窟に向かうまでの間にある橋が崩落、ライダーハウスに活用していた旧カーリング場施設も倒壊していて、危険度を考慮してこのふたつの除却を急ぐ必要がありました。事前に報告していたこともあり全会一致で議決していただくことができましたが、旧カーリング場については倒壊を未然に防ぐことができなかったのかという疑問があったと思われます。職員は見回りをして状況を把握していましたが、倒壊までは予想できなかったし、安全を期して除雪を行おうにも大雪に伴う他の施設の管理等に追われて余力もありませんでした。雪害としてご理解頂くしかないと判断していますが、今後の施設管理、雪害対応について教訓にすべき出来事にしなければならないと考えています。この4月から総務課に防災担当主幹を配置していますので、今回の反省を踏まえ、雪害の未然防止対策も考えていきたいと思います。

今回の補正は対応を急ぐ2件だけの予算計上ですすが、これ以外の雪害を受けた公共施設の補修関係については保険での対応などを整理したうえで今後開催される議会にお諮りして、逐次、対応を図っていきたいと思います。

それにしても、今年の大雪は多くの町民のみなさんがこれまで経験したことがないと話されています。降雪量や積雪量だけを見ると過去最高ということではありません。しかし、冬の間に暖気がきて雪を減量することもなく、一度降った雨がその後すぐに寒気が来て積もった雪に重みを増す結果になったことなど、感覚でしかわからない大変さがあったと感じています。異常気象が当たり前のようになってきた昨今、これまでの経験や感覚だけで判断できなくなっているだと思います。町民のみなさんからお預かりしている貴重な財産を大切に守る意識を職員ともども高く持つようにしていきたいと考えています。