5月28日月曜日、晴れわたったさわやかな朝。札幌への出張のためバスに乗り、春から夏へと急ぎ足で移ろう季節の風景を楽しみながら心地よい移動の時間を過ごしました。山際に多い白樺や河畔林のヤナギなど、木々が芽吹き若々しい若葉が勢いよく光彩を放っています。山裾に広がる牧場は、絨毯のような鮮やかな緑で繁っています。

中頓別が一番美しい季節。そして、私にとっては、ここが世界で一番美しい場所だと思える瞬間でもあります。

中頓別は頓別川の上流域にあり、支川である兵知安川が合流する市街地から上流域はほぼほぼ自然河川のままです。下流域にある浜頓別町を除くと隣町との境界は分水嶺になっていて、町域の8割が森林です。緩傾斜の農地が多く、ほとんどの農地が山際と接していて、その農地を潤すため小さな沢が数多く流れています。この景観こそ、この町が誇るべき財産であり、自然と人との共生を謳う我がまちづくりの大切な基盤ではないかと思っています。

融雪期は水嵩が増し流れも速かった川もこの時期になるとゆるやかで、自然のままゆっくり蛇行を繰り返しながら森の恵みを大地と海へ届けるために静かに流れています。

一年の半分を雪のあるなかで過ごすこの地域では、春から秋へ三つの季節の移ろいは速く、それゆえにそれぞれの季節が放つ魅力は鮮烈で力強さを感じます。特にこの季節はそうで、さわやかで心地いい空気、淡く澄んだ空色、清々とした水の流れと若々しく芽吹く新緑。長い冬を乗り越えてきたご褒美なのかもしれませんが、今年もこの美しさに浸ることができる幸福を味わわせてもらいました。

これらが織りなす世界は日々変化を重ねそれぞれが一瞬のように過ぎていきます。暑く萌える夏が早くバトンを渡せとばかりに待ち受けていて、もっとせっかちな秋にバトンを奪われる前に木々や畑の作物を育てなければと迫ってきています。

日本の最北、宗谷・中頓別の魅力を少しでも多くの人に伝えたい。暮らすようなゆっくりな旅でなければ感じることができない素晴らしさ、私たちはそこを考えていければと思っています。