5月8日、札幌にある発達が心配な乳幼児を支える活動に取り組む社会福祉法人麦の子会を、保健福祉課と認定こども園あわせて職員5人といっしょに訪問し、視察をさせて頂きました。

麦の子会は、児童発達支援センターを核に児童発達支援事業、日中一時支援事業、ショートステイ、ホームヘルプ事業、里親ファミリーホームなどを展開するほか、ここから育った子どもたちのための成人を対象とした事業としてグループホームの運営、生活介護事業、就労移行支援事業を行っています。私にとって、これだけの規模で子どもの発達支援などに取り組む現場を見るのは初めてでしたが、生まれた時からおとなになるまでと、さらにおとなになってからも支え続けてくれる存在として、素晴らしい取り組みをされていることに心が熱くなるほど感動しました。利用されている子どもたち、いっしょに参加しているおかあさんたち、支える多職種にわたる職員のみなさん、とてもステキな笑顔でいっぱいでした。

中頓別のような小さな町では、発達が心配な子どものために必要な事業所、専門職など社会資源をすべてそろえることは難しいことです。でも、それを必要とする子どもが必要な支援を受けられないまま、仕方がないこととあきらめてしまうような地域でいいとは考えたくありません。今回の視察は、本当に優れた取り組みに学びながら、この町なりのしくみを考えていくことを目的としていました。

麦の子会は、学生有志が教会にスペースを間借りして無認可の通園センターとしてスタート。13年を経て社会福祉法人となり法定施設として「むぎのこ児童発達支援センター」を開園しました。その後20年のなかで冒頭で挙げたような多くの施設を運営するまでになっています。そのことを北川聡子総合施設長にお聞きしましたが、「自分たちは大きくなったとはあまり感じていない。みんな家族のようだから」とさらりとお答えになりました。麦の子会は、子どもとその親たちに家族のように寄り添いながら事業を進めてきています。その延長の中で必要となった支援のしくみが自然と広がったということなのだと思いますが、子どもだけでも500人近い利用者がいて、職員も二百数十人に上る大きな組織を「家族」として支えていく姿勢を貫いているということ、そのこと自体がとてもすごいことではないかと感じました。私たちを迎え入れ説明して下さったスタッフも自らひきこもりだったり、発達障害があったということを打ち明けられていました。ここで支援を受けてきた子どもや、自分の子どもが支援を受けてこられた親が、今は麦の子会の職員として働いています。

地下鉄東豊線新道東駅と栄町駅の間西側で半径700~800mのエリアに麦の子会の事業所が町に溶け込むように点在しています。麦の子の事業所を利用している子どもたちを多く受け入れている栄町小学校、中学校も含め、このエリア一帯が発達が心配な子どもたちのためのとてもとてもやさしい街になっているように感じました。

北川総合施設長をはじめ、お世話になった職員のみなさんに心から感謝を申し上げます。中頓別でやらなければならないことをしっかり取り組む、忙しいなか迎えてくださった方々へのお礼に変えていきたいと考えています。

麦の子会のホームページ → http://muginoko.com/