新年度最初の出張で札幌です。

中頓別バスターミナルから7時27分発の天北線バスに乗車、音威子府駅からJRを利用し旭川での乗り継ぎを経て札幌に到着するのが11時55分となります。片道ほぼ4時間半かかる移動時間です。

最近は、JR北海道の路線見直し問題がクローズアップされ道内市町村にとっても大変大きな課題となっています。宗谷線も名寄から稚内間が不採算ゆえ廃止が危惧された時期もありましたが、今は、存続させることが基本的な考え方となっています。ただ、不採算ゆえに車両だけでなく施設の老朽化が進み、冬期間などは運休や大幅な遅れが出てしまうことが増えてきました。エゾシカ等の野生生物との事故もこれに加わります。会議等の時刻に間に合うように着けるかどうか不安に感じながら移動することがよくあります。かつて安全性と時間の正確さが売りだったはずのJRですが、いまはそこが大きく揺らいでいます。利用者の減少、コスト削減、信頼性の低下、利用者の減少・・・。負のスパイラルを断ち切ることが存続の最大の課題なのだと思います。

 

さて、中頓別の地域公共交通の問題。昨年6月になかとんべつライドシェアについて書かせて頂いた際にも触れていますが、この天北線バス路線の存続が大きな課題です。もともとJR天北線が走っていたところからのバス転換。赤字ローカル線のなかでも延長が150km近かった天北線をバスに転換してひとつの路線として輸送するというのは当初から無理があったと思います。しかし、国から交付された転換交付金の運用で中長期的に存続可能として代替輸送が始められています。鉄路の廃止が沿線市町村の人口減少や経済の衰退にどう影響したのかを詳細に計ることは難しいですが、いずれにしても予想を超えて人口が減少し、それに伴ってバス利用者も大きく減少しました。経営の赤字は転換交付金を積んだ基金から穴埋めしてきましたが、その交付金も長期にわたって低金利が続き、想定した果実が生まれず原資を切り崩す状況となりました。このままでは基金が底をつくことが見えていて、対策が急務となっています。しかし、沿線市町村の事情がそれぞれ違いますので合意形成を図ることは簡単ではなく、いまだに抜本的な見直しを実現するに至っていないのが現状です。私自身、職員時代からこの問題に携わってきているので、何とかしなければならないと強く思う課題でもあります。

それゆえに、こうしてバスとJRで移動するたびに地域公共交通の未来について考えずにはいられなくなります。頭の中で堂々巡りするだけなのが歯がゆいですが、町にとっての最も合理的なしくみを考えること、関係市町村間の調整の成り立たせること、地域住民の理解を得ること、この三つを実現できる解を探す努力にしっかり取り組んでいかなければなりません。公共交通を空白にすることは地域住民だけでなく、外から入ってくる人にとってもネガティブな印象を与えかねないという問題もあります。固定観念に縛られず、利用者本位で地域交通の新しいしくみづくりに挑戦してみたいと考えています。

今朝の天北線バスは、中頓別で降車した人がひとりで乗車したのも私ひとり、浜頓別方面から3人の方が私といっしょに音威子府まで同乗しましたが、この間の乗降はゼロでした。バスの車窓には、愛おしい中頓別の景色が流れていきます。今朝は天気もよく、敏音知岳やペンケ、パンケの山並みを背景とする眺めは本当に美しいと思いました。こんな車窓の風景をいつまでも続く安心の公共交通を利用して眺められる日が来るよう、しっかり取り組んでいきたいと思います。