昨年6月になかとんべつライドシェアについて書きました。続編が遅れましたが、少しずつフォローしていきたいと思います。

3月22日、平成29年度における最後の中頓別町シェアリング研究会が開催され報告書の内容などが議論されました。残念ながら私は出席できませんでしたが、中身の濃い報告内容が議論されています。

UBER動画 → https://youtu.be/Ni4Hnvso8sk

平成28年8月からはじまったライドシェアの実証実験。2年目となる昨年度は、まず、初年度にとりまとめた以下3つの論点について検討しています。

  • 持続的な交通体系の確立に向けた検討
  • 町外ニーズを踏まえた広域的な連携に向けての検討
  • より多くのボランティア・ドライバーと利用者の創出に向けての検討

もっとも大きな論点は「持続的・・・」のところで、運行費用、つまり利用者が経費をどう負担するか(できるか)です。初年度は燃料費までボランティア負担でスタートしたところから、29年度では燃料代とシステム利用料など実費を負担して頂くスタイルへとステップアップしました。もともとは、ただで乗せてもらうのは申し訳ないという利用者の声がはじまりでした。実際に実費収受した後は利用者が減るという事態になりましたが、次第に利用者は増加しています。なかとんべつライドシェアは、既存の公共交通制度の枠外での実証実験のため、有償化して料金を頂くことが認められていません。既存制度にのると運行管理者などのコストが大きくなるなど課題もあるため、どのように費用負担の仕組みをつくって持続的な交通体系として確立できるのかが最大の課題と言えます。

このことを踏まえた上で、シェアリング研究会は、

  • 広域的な事業実施
  • 既存公共交通制度の検証
  • 中頓別町全体の交通体系のあり方

について調査・検討を進めてきました。加えて、広くシェアリング・コミュニティの視点で、交通以外の社会資源の活用として、民泊やファミリーサポートセンター事業などの可能性や利用促進についても検討しています。

広域的な事業に関しては、地域住民が乗り降りする起終点のいずれかが町外になるケースへの対応が課題となります。中頓別が起点で町外へ移動する場合はこれまでも対応していますが、その逆が課題となります。観光などのニーズとなれば、最初から起点が町外となり、これら起終点となる市町村やそこで事業を営む交通事業者にも配慮したしくみをつくる必要が出てきます。容易な課題ではなく、まずはライドシェアに関する共通理解という土壌作りから始めなければならないなど、時間をかけて乗り越え、実現をめざしていきたいと考えています。

既存公共交通制度の検証は、ライドシェア実証実験の報告の際、国土交通省から求められている課題でもあります。国としても交通空白地域で公共交通を確保できるよう制度を設けていて、その活用を促すというのは当然だと考えています。もともと既存制度によらないライドシェアの実証実験に踏み出したのは、将来的な費用負担が大きな課題となるからでした。路線バスやタクシー利用助成など、すでに地域住民の交通確保のために多額の負担をしている現状があり、将来的にはこれらを減らさなければならないというミッションを持って新たな取り組みを模索した結果がライドシェアです。次の課題と絡む話になりますが、最初から費用負担を増やす前提で入るのではなく、地域交通の在り方を抜本的に変えようという軸足は変えないという基本的な考え方に立っての検証でしたが、やはり、先駆的な取り組みで交通空白地域での地域公共交通の事業を進めている各自治体、事業者ともに課題を抱えている現状が見えてきました。

最後に、中頓別町全体の交通体系のあり方の検討です。すでに述べたとおり、中頓別では路線バス、ハイヤー利用助成、病院患者送迎、スクールバスなどで多くの費用負担をしています。最大の問題はJR天北線の廃線後に運行された長大な路線バスの運行継続にかかっている費用負担で、このために交付された転換交付金で継続できる限界がすぐそこまで来ているのが現状です。国の補助路線の対象となるための要件に合致できなくなれば、さらに大きな負担が圧し掛かってきます。そうなる前に沿線市町村で抜本的な対策を講じる必要がありますが、長年続けてきた議論もいい結果を見つけ出せずに来ました。まずは、それぞれの市町村がそれぞれに地域内のニーズを明確にしていくことが必要との考えに立って、現状の分析を試みています。さらに詳細な分析を加えていきながら、地域公共交通の全体を再構築できるよう検討を重ねていく必要があると考えています。

なかとんべつライドシェアは、3年目の実証実験を続けることにしています。三か年計画の最終年度でもありますので、どう成果を出して、これからのしくみづくりにつなげていけるか正念場です。

ライドシェア事業の紹介(町ホームページ)→ http://www.town.nakatombetsu.hokkaido.jp/bunya/5299